クラブを変えてもスライスが止まらない、飛距離が伸びない……。
それ、あなたの“スイングのせい”ではないかもしれません。
もしかするとその原因は、“身体の使い方”と“クラブ特性”のミスマッチかもしれません。
本記事では、スポーツトレーナー廣戸聡一氏が提唱する「4スタンス理論」を基に、 クラブフィッター歴25年超の筆者がタイプ別のスイング特徴と合うドライバーの選び方を徹底解説。
- 自分に合うクラブが見つからない
- 飛距離も方向性もバラバラ
- クラブ選びに自信がない
そんなゴルファーに向けて、クラブフィッター歴25年の筆者が、現場のリアルな事例も交えながらお届けします。
ちなみに、筆者の選んだ2025年セッティングはこんな感じです👇
クラブフィッターが選んだ本気の14本(セッティングと理由を紹介)
4スタンス理論とは?

ゴルフスイングには無数の理論が存在します。
スイングプレーン、体重移動、ハンドファースト、シャローイング……
しかし、どれだけ教科書通りにやっても「うまく打てない」「しっくりこない」というゴルファーが少なくありません。
その理由の一つに、“身体の使い方”の個人差が挙げられます。
どれほど美しいフォームでも、その動きがあなたの身体に合っていなければ結果にはつながらないのです。
ここで登場するのが、「4スタンス理論」
https://www.4stance.com/4stance04.html
この理論は、プロ野球・陸上・柔道・バレエ・ピアノといったあらゆるジャンルのトップアスリートに取り入れられているもので、人間は生まれつき4つの身体タイプのいずれかに属しているという前提に立っています。
提唱者はスポーツトレーナーの廣戸聡一(ひろと そういち)氏。
廣戸氏は長年にわたり「軸の理論」「身体の使い方」に着目し続け、医学・武道・古武術などの知見を融合してこの理論を確立しました。
4スタンス理論では、次の2軸で分類を行います:
- 重心のかかり方(前側 or 後ろ側)
- 関節の使い方(内旋 or 外旋)
この2軸の組み合わせにより、
- A1(つま先 × 内旋)
- A2(つま先 × 外旋)
- B1(かかと × 内旋)
- B2(かかと × 外旋) という4つのタイプが定義されます。
これらは、見た目のフォームや筋力ではなく、「脳が自然に命令する身体の動かし方」で決まるとされています。
つまり、意識して変えることができない“設計図”のようなものなのです。
たとえば、同じようにアドレスをとっているように見えても、
- Aタイプの人はつま先重心で地面を感じる
- Bタイプの人はかかと側に重心を置いて安定する という違いが無意識のうちに生まれます。
この小さな違いがスイング中の体重移動、クラブの軌道、リズム感、そしてミスの出方にまで影響を及ぼしていきます。
そのため、自分がどのタイプに属しているのかを知ることが、クラブ選びにもスイング改善にも重要な第一歩なのです。
これは「誰かの理想的なスイング」を目指すのではなく、 自分の体の動かし方に合ったスイングを作ることを目的としています。
同じスイング理論でも、タイプが違えば結果が全く異なるのです。
各タイプのスイングの特徴と傾向
4スタンス理論では、人間の身体の使い方に応じてスイングのタイプが大きく4つに分かれます。
ここではそれぞれのタイプの特徴を詳しく見ていきましょう。
あなたのスイングに当てはまる項目が多いタイプが、あなたの身体に合ったタイプである可能性が高いです。
A1(つま先重心 × 内旋タイプ)
◎ 身体の使い方の特徴
- 自然とつま先側に重心がかかる
- 上半身主導で、胸や背中を使った動きが得意
- 直立姿勢が安定しており、スイング中も体の軸が立つ
- 関節は内旋型。肘や膝を内に絞りやすい
◎ スイングの傾向
- クラブを縦に上げて、上から振り下ろすようなスイング
- 回転よりも上下の動きが得意
- フェースの向きをしっかり管理できるが、ハンドファーストが強くなりやすい
- 打球はフェード~ストレート系が出やすい
◎ よくあるミスと課題
- 振り遅れてスライスが出る
- インパクトが詰まりやすく、力を逃してしまう
◎ 合うクラブの傾向
- 小ぶりヘッド/操作性重視/浅重心
- フェースターンを抑えても安定するモデル
- ストレート軌道・操作性重視タイプ
A2(つま先重心 × 外旋タイプ)
◎ 身体の使い方の特徴
- つま先重心で、骨盤の横方向の動きが得意
- リズム重視、テンポが自然と安定する
- 関節は外旋型。腕を開く動きが得意
◎ スイングの傾向
- シャローな軌道で、自然とインサイドから入る
- タイミングと体の連動で飛ばす「テンポ型」
- 左右へのぶれは少なく、再現性が高い
◎ よくあるミスと課題
- タイミングを外すと引っかけやすい
- つかまりすぎるクラブで左ミスが頻発
◎ 合うクラブの傾向
- 中慣性/重心深度が中庸なモデル
- インパクトタイミングが取りやすい設計
- フェースローテーションが自然なクラブ
B1(かかと重心 × 内旋タイプ)
◎ 身体の使い方の特徴
- かかと重心で、上下動を伴う動きが得意
- 骨盤の上下動でスピードを生むタイプ
- 関節は内旋型。コンパクトで力強い動作に強い
◎ スイングの傾向
- タメが深く、力強い切り返しが可能
- ダウンブロー気味の厚いインパクト
- 直進性よりもインパクト重視の打ち方
◎ よくあるミスと課題
- チーピンやプッシュアウトのミス
- フェースが急激に返ってしまい、球筋が安定しない
◎ 合うクラブの傾向
- 浅重心・ディープフェース・低スピン設計
- コントロール重視だが、叩いても左にいかないモデル
B2(かかと重心 × 外旋タイプ)
◎ 身体の使い方の特徴
- かかと重心で、ゆったりとした動作が得意
- 骨盤が水平に動きやすく、下半身の横回転が自然
- 関節は外旋型。関節の可動が大きく、しなやか
◎ スイングの傾向
- ゆっくりしたリズムで大きなスイングアークを描く
- シャロー軌道で自然とつかまる
- 軌道は安定し、ミート率が高い
◎ よくあるミスと課題
- タイミングがズレるとスライスやプッシュが出やすい
- スイングスピードが上がりにくい
◎ 合うクラブの傾向
- 高弾道・シャローフェース・つかまりやすいモデル
- 軽量設計/ストレート弾道/深重心
これらのタイプごとの特徴を正しく理解することで、無理にスイングを矯正するのではなく、身体に合った“自然な動き”を最大限に活かすことができるようになります。
以下は簡単にまとめた要点です👇
タイプ | スイングの特徴 | よくある注意点・ミス |
---|---|---|
A1(つま先重心 × 内旋) | ・背筋を伸ばした直立姿勢が得意・縦振り、ハンドファーストが強く出る・フェード系の打球が出やすい | ・振り遅れによるスライス・インパクトが詰まりやすい・力が逃げやすい |
A2(つま先重心 × 外旋) | ・骨盤が柔らかく、前傾姿勢が自然・シャロー軌道・テンポ型スイング・ドロー〜ストレート系の打球が出やすい | ・タイミングがズレると引っかけやすい・つかまりすぎるクラブで左ミスが出やすい |
B1(かかと重心 × 内旋) | ・タメのある重厚なスイング・ダウンブローで強いインパクトが可能・操作性重視の打ち方に向いている | ・フェースターンが強く、左ミスが出やすい・プッシュアウトやチーピンが出やすい |
B2(かかと重心 × 外旋) | ・ゆったりしたリズムと大きなスイングアーク・ナチュラルシャローでミート率が高い・高弾道ストレート系が出やすい | ・タイミングがズレるとプッシュ・スライス・スイングスピードが上がりにくい傾向 |
自分のタイプがわからないゴルファーへ【詳細セルフ診断と事例解説】
「理論はわかったけど、自分がどのタイプかがいまいち判断できない」──これ、非常によくある声です。
ここでは、初めて4スタンス理論に触れる方でもなるべく自力で判断しやすいように、シンプルで効果的なセルフ診断方法と、実際のフィッティング現場での判断例を交えて詳しく解説します。
✅ STEP1:ジャンプ着地で「前か後ろ」重心を見極める
- 靴を履いたままでOK。床の上に立ち、足を肩幅に開いてください。
- 両腕を横に軽く広げ、まっすぐジャンプします。
- 何も考えずに「ドン」と着地してください。
診断ポイント:
- 着地後に重心が「つま先寄り」に感じた → Aタイプ
- 着地後に重心が「かかと寄り」に感じた → Bタイプ
📝 ナオの実例①:50代男性
「今までずっとかかと体重で立っていると思っていたが、ジャンプしてみたら完全につま先に力が集まっていた」→ 実際スイングもAタイプの傾向で、操作性重視の小型ヘッドに変更後、劇的に改善。
✅ STEP2:腕の動きで「内旋 or 外旋」をチェック
- 腕を肩の高さにまっすぐ前に伸ばします。
- 目を閉じた状態で、自然に腕を上下左右に振ってください。
- 腕が自然と内側に回る(肘が内を向く)か、外側に回る(肘が外を向く)かを観察します。
診断ポイント:
- 内旋傾向 → 1番タイプ(A1またはB1)
- 外旋傾向 → 2番タイプ(A2またはB2)
📝 ナオの実例②:30代女性・初心者ゴルファー
「何度やっても腕が自然に外へ開いてしまう」→ 外旋型と判断。その後のスイング診断やアドレスでもA2傾向が強く、タイミング重視のヘッドに切り替えて成功。
✅ STEP3:歩き方・座り方・靴底の減り方
日常生活にもタイプのヒントは現れます。
観察ポイント | Aタイプ傾向 | Bタイプ傾向 |
---|---|---|
靴底の減りやすい場所 | つま先外側 | かかと内側 |
電車で立っているときの姿勢 | 足を揃えて立ちやすい | 足を開いて安定する |
座ったときの姿勢 | 背筋を立てがち | 腰を丸めがち |
歩幅の傾向 | 小刻みテンポ型 | ゆったり大股型 |
📝 ナオの実例③:60代競技ゴルファー
「靴の外側だけ極端にすり減る」「階段はつま先で降りる」→ Aタイプ+外旋の傾向が強く、A2と判断。 長年つかまりすぎるクラブで苦しんでいたが、中慣性設計のモデルに切り替えて劇的に安定。
✅ 総合的に判断するためのコツ
診断テストはひとつだけで決めず、複数の視点を総合して判断するのが正確です。
- STEP1のジャンプ着地 → 重心の傾向(A or B)
- STEP2の腕の動き → 内旋/外旋(1 or 2)
この2つが組み合わされて、あなたのタイプが決まります。
さらに
肩の回しやすい方向チェック(肘曲げて回す)
- 肘を90度に曲げて、肩を中心に前後に回してみてください
- 回しやすい方向を確認
- □ 前側・内側に巻き込むような動きが得意
→ 1タイプ(内旋型) - □ 後ろ側・外に開くような動きが得意
→ 2タイプ(外旋型)
イスからの立ち上がり方
イスに座った状態から、意識せずに立ち上がってみてください。
- □ 前傾して骨盤から立ち上がる
→ A2・B2(骨盤主導、外旋型)の傾向あり - □ 背筋を伸ばしたまま上半身でグッと押し上げるように立つ
→ A1・B1(上半身主導、内旋型)の傾向あり
テスト結果 | タイプ |
つま先 × 内旋 | A1タイプ |
つま先 × 外旋 | A2タイプ |
かかと × 内旋 | B1タイプ |
かかと × 外旋 | B2タイプ |
📝 ナオのアドバイス
「正直、最初は判断が難しい方も多いです。でも“自分の体のタイプを知る”ことだけでも、スイングは驚くほど安定します」
スイングタイプ別クラブスペックの選び方(ドライバー編)


スイングタイプとクラブの相性は、飛距離・方向性・打感に大きな影響を与えます。
ここでは、4スタンス理論で分類された各タイプに対して、**最適なクラブスペック(ヘッド設計・ロフト角・重心設計・シャフト特性)**を詳しく解説します。
A1タイプに合うクラブスペック
- ヘッドタイプ:小ぶり・浅重心・操作性重視
- ロフト角:10.0~10.5°(高すぎると吹ける)
- 重心位置:浅め/重心距離短め(つかまりすぎない)
- 慣性モーメント:中~低(操作性優先)
- シャフト傾向:元調子/トルク控えめ/しっかり感のある設計
📝 ポイント:ハンドファースト気味でも球が上がりすぎない設計が好相性。
A2タイプに合うクラブスペック
- ヘッドタイプ:中型ヘッド・中慣性・直進性重視
- ロフト角:10.5~11.0°(中弾道)
- 重心位置:中庸~やや深め(フェースターンを助けすぎない)
- 慣性モーメント:中~高(方向安定性◎)
- シャフト傾向:中調子/しなり戻りが穏やかでタイミングがとりやすい
📝 ポイント:タイミング重視型なので、挙動が穏やかな設計を選ぶとミスが減る。
B1タイプに合うクラブスペック
- ヘッドタイプ:ディープフェース/浅重心/低スピン型
- ロフト角:9.0~10.0°(吹け上がり防止)
- 重心位置:浅め・重心距離長め(フェード設計が◎)
- 慣性モーメント:中(叩いても暴れにくい)
- シャフト傾向:元~中元調子/叩けるシャフト/トルク少なめ
📝 ポイント:スピンが増えすぎる設計だと左ミスが強調されるので注意。
B2タイプに合うクラブスペック
- ヘッドタイプ:シャローフェース/深重心/つかまり系
- ロフト角:10.5~11.5°(高弾道が出しやすい)
- 重心位置:深め/ヒール寄り(自然にボールがつかまる)
- 慣性モーメント:高め(ミート率安定)
- シャフト傾向:先調子/しなり戻りが強め/軽量系がベター
📝 ポイント:非力なゴルファーやテンポ重視型には、球が上がりやすいモデルが好相性。
フィッティング現場から見た成功・失敗事例集
理論だけでは見えてこない“実際の現場”──。 ここでは、筆者がこれまでに行ってきた数千件以上のクラブフィッティングの中から、 「4スタンス理論を活用して成功した例」と「逆に合わないクラブ選びで苦しんでいた例」を紹介します。
これらの事例は、あなた自身のクラブ選びやスイング改善にも必ず役立つはずです。
🟢 成功例①|A2タイプ × G440MAXで引っかけが激減
- ゴルファー情報:40代男性/HC15/スイングテンポ中速
- タイプ診断:ジャンプ→つま先着地/腕→外旋強め → A2タイプ
- 以前の悩み:スライスを恐れてつかまり重視の深重心モデルを使っていたが、左への引っかけが頻発。
➡ G440 MAX(直進性が強い/挙動安定)に切り替えたところ、
- インパクト時のタイミングが合いやすくなり
- 弾道が安定
- フェアウェイキープ率が約20%向上
📌 ポイント:A2タイプは“つかまりすぎる”ヘッドより、タイミングがとれる自然な挙動の方がミスが減る。
🟢 成功例②|B1タイプ × GT3で飛距離&精度アップ
- ゴルファー情報:50代男性/HC7/叩きにいくスイング
- タイプ診断:かかと着地/内旋タイプ → B1タイプ
- 以前の悩み:慣性モーメントが高すぎる大型ヘッドで振り切れず、左ミスも増加。
➡ GT3(ディープ/浅重心)に変えたことで、
- ボール初速が向上
- 引っかけ激減
- 操作性が増して、ラウンド中の安心感が段違いに
📌 ポイント:B1は“叩ける設計”+“つかまりすぎない”モデルがハマりやすい。
🔴 失敗例①|B2タイプ × 超浅重心ドライバーでスライス地獄
- ゴルファー情報:60代女性/ビギナー
- タイプ診断:かかと着地/腕外旋 → B2タイプ
- 使用クラブ:浅重心・小型・操作性重視モデル(つかまりにくい)
➡ スイング自体は安定しているのに、常に右方向へスライス。 ➡ クラブ変更で深重心・軽量モデルにしたところ、
- 弾道が自然と上がり
- スライス減少 → 曲がり幅約50%改善
- キャリーが+15ヤード
📌 ポイント:B2には“やさしさ”と“つかまり”が最重要。
あっているクラブは👇
🔴 失敗例②|A1タイプ × 高弾道・深重心ヘッドで「吹け球」量産
- ゴルファー情報:30代男性/HC5/切り返し早め
- タイプ診断:つま先重心/内旋 → A1タイプ
- 症状:ボールが吹き上がる・弾道が軽くなる・飛距離が出ない
➡ ヘッドを小型・浅重心・中弾道設計に変えると
- スピンが適正化
- 弾道に重さと強さが出る
- 総合飛距離が20ヤード以上伸びた
📌 ポイント:A1タイプは“吹けやすさ”に特に注意が必要。
あっているクラブは👇
タイプ別・間違いやすいスイング修正の落とし穴
4スタンス理論の考え方に反して、自分の身体の使い方に合わない“他人の理想”を追いかけてしまうと、逆にスイングを崩してしまうことがあります。
ここでは、各タイプが陥りやすい“間違ったスイング修正”のパターンを詳しく解説し、それを避けるためのポイントをご紹介します。
❌ A1タイプの落とし穴:「フェースターン強化のしすぎ」
A1タイプはフェース管理能力が高く、直線的な軌道が得意です。
しかし、レッスンなどで「もっとフェースを返そう」といったアドバイスを鵜呑みにしてしまうと、
- フックやチーピンが増える
- 左に巻くようなミスが多発
- タイミングが狂って振り遅れが目立つ といった逆効果に陥りがちです。
🟢 ナオの対策アドバイス:
- 無理なフェースターンより、フェース面をキープする意識
- ハンドファーストを活かして“押し出すイメージ”でOK
❌ A2タイプの落とし穴:「腕でタイミングを取ろうとする」
A2タイプはテンポや体の連動性で打つリズム型スイングです。
「下半身を固定して腕で合わせにいく」といった修正をすると、
- 引っかけ・プッシュのブレが拡大
- クラブが走らず飛距離ダウン
- “気持ちよさ”が消えてゴルフ自体がつまらなくなる という悪循環に。
🟢 ナオの対策アドバイス:
- スイングのテンポを崩さずに**“体全体のリズム”を意識する練習**
- 素振りはワッグルから始めると◎
❌ B1タイプの落とし穴:「インサイドアウト軌道の過剰強調」
B1タイプは厚く叩けるタメ型。自然とアウトサイドイン気味でも問題ないゴルファーが多いです。
それなのに「もっとインサイドから振って」と言われて…
- 振り抜けずに詰まる
- クラブが下から入りすぎてダフリやすくなる
- 本来のスイングスピードが発揮できない といった失敗が起きがちです。
🟢 ナオの対策アドバイス:
- “自然なタメ”を大切にし、無理に軌道を修正しない
- ハンドファースト・コンパクトトップの意識で◎
❌ B2タイプの落とし穴:「体重移動のしすぎ」
B2タイプは軸が安定していて、スイング軌道の再現性が非常に高いのが強みです。
それなのに「もっと右足に乗って、左に移動して」とやりすぎると…
- 軸がぶれてミート率低下
- インパクトの再現性が落ちる
- 飛ばそうと力んでシャンク系のミスが出やすくなる
🟢 ナオの対策アドバイス:
- 軸をキープして“その場で回る”感覚を大切に
- 軽く振っても飛ぶ安心感が大切
ドライバー以外への応用(FW・UT・アイアン・ウェッジ)
4スタンス理論を「ドライバーだけ」に活かすのは非常にもったいない話です。
実は、FW(フェアウェイウッド)・UT(ユーティリティ)・アイアン・ウェッジにおいても、各タイプの体の使い方によって「合う・合わない」がハッキリ出るクラブ選びがあります。
【FW】フェアウェイウッドの選び方と傾向
- Aタイプ:ティーショットでも芝からでも使えるコンパクトヘッド/浅重心系が◎
- Bタイプ:大型・高慣性・直進性があるヘッド/ディープフェースでも安心
🔍 とくにA2タイプは球が上がりづらいFWでは“タイミング”を取りやすいシャフトが重要です。
B2タイプはロフト角と重心設計の工夫で、地面からでも高弾道が打ちやすくなります。
【UT】ユーティリティの選び方と傾向
- Aタイプ:操作性重視でコンパクト・ストレート設計が◎
- Bタイプ:つかまり・高弾道設計(Qi 35MAXなど)が安心感に
🔍 A1/A2は「距離が合わない」「左右がブレやすい」などの悩みが出やすく、シャフトのしなり感でカバーする必要があります。
B1/B2は高さを出すために、番手・ロフト選定がとくに重要です。
【アイアン】スイングの“型”が最も影響を与えるクラブ
- Aタイプ:抜けの良いソール、トウヒールバランスが整った中・小型ヘッド
- Bタイプ:キャビティ・大型ヘッドでもOK。とにかく「安心感」が最優先
🔍 タイプに合わないと、「なぜか打感が気持ち悪い」「シャンクっぽい」など、ミスの原因に直結します。
特にA1タイプはフェースコントロール型、B2タイプは高打ち出し・寛容性重視型を意識。
【ウェッジ】ミスの傾向がはっきり出やすい最重要クラブ
- Aタイプ:ローバンス/抜けの良いソール形状/球を押すイメージが活きる
- Bタイプ:広めのソール/バンス大きめ/高さとスピンを楽に出せる設計
🔍 アプローチのイップス傾向があるゴルファーほど、自分の「身体の使い方」に合うウェッジを使うことが重要。
筆者の現場でも、A2ゴルファーに広めバンスを渡すとトップ連発することも。
このように、クラブごとに「自分のタイプに合った特徴」を活かして選ぶことで、全体のスコア・安定感・安心感がガラリと変わります。
“他人の真似”より“自分に合う”スイングとクラブを
この4スタンス理論は、単なる“理論”で終わらせてしまうにはもったいないほど、 ゴルファー個々のスイングの“違い”を理解し、尊重するためのツールです。
特に今の時代は、SNSやYouTubeでさまざまなプロのスイングが目に入る中で、 「この人みたいに打てたら…」「やっぱりフェースローテーションが必要かも…」と、 “他人のスイング”に自分を当てはめようとしがちです。
でも、本当に大切なのは、 👉 **「自分の身体がどう動くのか」**を理解し、 👉 **「それに合ったスイングやクラブを選ぶこと」**です。
タイプ | スイングの特徴 | よくある注意点・ミス |
---|---|---|
A1(つま先重心 × 内旋) | ・背筋を伸ばした直立姿勢が得意・縦振り、ハンドファーストが強く出る・フェード系の打球が出やすい | ・振り遅れによるスライス・インパクトが詰まりやすい・力が逃げやすい |
A2(つま先重心 × 外旋) | ・骨盤が柔らかく、前傾姿勢が自然・シャロー軌道・テンポ型スイング・ドロー〜ストレート系の打球が出やすい | ・タイミングがズレると引っかけやすい・つかまりすぎるクラブで左ミスが出やすい |
B1(かかと重心 × 内旋) | ・タメのある重厚なスイング・ダウンブローで強いインパクトが可能・操作性重視の打ち方に向いている | ・フェースターンが強く、左ミスが出やすい・プッシュアウトやチーピンが出やすい |
B2(かかと重心 × 外旋) | ・ゆったりしたリズムと大きなスイングアーク・ナチュラルシャローでミート率が高い・高弾道ストレート系が出やすい | ・タイミングがズレるとプッシュ・スライス・スイングスピードが上がりにくい傾向 |
🎯 クラブフィッターのメッセージ
私自身、ゴルフクラブ販売・試打・フィッティングに25年以上関わってきました。
その中で、上手くなる人と迷い続ける人の違いは、 「情報の多さ」よりも「自分軸の強さ」にあると感じています。
4スタンス理論は、
- 無駄な努力を減らし
- 正しい方向に時間とお金を使い
- “あなたらしいゴルフ”を形にする ための、非常に有効なヒントです。
この記事が、あなたのゴルフにとって“本当に必要な選択”を見つけるきっかけになれば幸いです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
本記事は、廣戸聡一氏が提唱する4スタンス理論に基づき、筆者が実際のフィッティング経験をもとに構成しています。